「お肉のよもやま話」料理で再発見!お肉の魅力、おいしい秘密 2023年8月号
週刊いな「お肉のよもやま話」2023.8.31
今回は「豚汁」についてご紹介させて頂きました!
オラのとこの坊主は、中学3年になった。
あんまり器用じゃないが、
「一汁一菜」の食事を自分で用意できる。
ごはんを炊いて、味噌汁を作って、肉と野菜を焼いて食べる。
包丁と火が使えるから、生活の基本の食べることは、
とりあえずできるようになった。
最近、女房殿が「夏休みに豚汁を作れるように教えようかな」と言っとった。
「豚汁レボリューション」っていう、人気のスープ作家、
有賀薫さんのレシピ本を読んで、感化されちゃったのもあるけど、
豚汁で50種類ものバリエーションがあって、
寒い時期だけじゃなくて、暑い時期も具だくさんで
栄養が豊富にとれるのは魅力的なんだって。
オラとしては、遠山郷の伝統的な汁物のお菜や
ケンチャン汁も覚えてほしいけど、
まあ若いし育ち盛りだで、
まずは豚汁づくりを覚えるといいわな。
受験生だで、夏こそ豚汁で、滋養を高めて、
英気を養って、ガンバってほしいぞぉ。
「豚汁」って、ほんとに家庭料理の定番で身近だと思う。
ほいで、嫌いな人っていないかも。
みんなが大好きな豚汁。
だけど、実は、豚汁専門店ってのも、
いくつもあって、郷土色もゆたかで奥が深い。
冷やし豚汁とか、カレー豚汁とか、
メニューもすさまじい多さ。
びっくりたまげちゃったに。
オラは、この夏休み、女房殿に負けずに
「夏野菜の猪汁」を坊主に作って、ほいで、教えてやるかな。
まあ、具材に豚肉じゃなくて、
猪肉を使うだけだけど。
オラのオトウチャは、
いちいち負けず嫌いな男だったが、
グリコのキャラメルは「1粒300メートル」の
エネルギーがあるらしいと聞きつけて、
「キャメルは300mだが
『猪汁一杯シシ十六厘(約64km)』だぞ。」と、
常々言っとった。
根拠が気になっとったが、ふとしたことで判明した。
「戦国の走れメロス」鳥居強右衛門の史実が、
オトウチャの口癖のベースだったらしい。
オラのオトウチャは暴れん坊で
荒くれものタイプだったが、義理と人情にはあつい男で、
歴史もの、時代劇、忠義の話がすこぶる好きだった。
長篠合戦のゆくえを変えた人間味あふれる
鳥居強右衛門・命がけの行動に胸を熱くしたのだと思う。
三河・長篠城から岡崎城へ鳥居強右衛門が
救援を求めて命がけで往復した道は、
当時の道で片道約65kmだという。
シシ十六里(約64km)の根拠はココだ。
そして、三河は古くから狩猟の盛んな地域。
神様に猪を献上する伝統的な祭りまである。
わりあい博識だったオトウチャは、
鳥居強右衛門の強靭な精神力と体力は、
鳥居強右衛門もきっと食べとっただろう
「山猪」が培ったんじゃないかと考えたんだろうな。
絶体絶命でもあきらめなかった強右衛門の
精神力、命にかえて使命を果たした胆力に、
オラは男として、強いあこがれを持っとるし、
そうなりたいと思う。
思春期まっただなか、受験生の夏は、
大変だと思うが、
父ちゃんと母ちゃんが、かわるがわる豚汁と
猪汁を作ったりして応援するで、がんばれよ。
オラもこの夏、負けずに頑張るでね――――!