「お肉のよもやま話」料理で再発見!お肉の魅力、おいしい秘密 2023年9月号
週刊いな「お肉のよもやま話」2023.9.28
今回は「赤身肉」についてご紹介させて頂きました!
近年、人気が高まっている「赤身肉」。
赤身肉は、その名の通り、見た目が赤くて脂肪が少ない肉。
ほどよい歯ごたえと旨味たっぷりな味わいは、
肉本来のおいしさを楽しみたいときにぴったり。
濃厚な旨味とコク、低カロリー・低脂質・高タンパクの赤身肉を
愛しちゃってる人を「アカミニスト」っちゅーんだって。
もちろん霜降りは相変わらず根強く支持されてるけど、
霜降り肉から赤身肉へっちゅー流れと言うかブームは結構な大きな流れ。
赤身肉と聞いて、一般的には牛を想像するかと思うんだけど、
牛肉だけじゃなくて、豚肉、ラム肉などのもも肉やヒレ肉など、
たんぱく質が多くて脂肪が少ない部位のことを一般的に指しますに。
ウチは多畜種を扱う山の肉屋だもんで、ラインナップは、牛や豚のほかに、
熊・猪・鹿・羊・馬・兎。同じ赤身だけど、畜種によってその味わいは違う。
オラが、いまイチオシなのは、猪の赤身肉かなー。
猪肉の最大の特徴は、甘くとろける、それでいてしつこさのない脂身だけど、
野生の猪の赤身の力強さや、しっかりしたお肉の旨味もすごくて、
ふと食べたくなる。
猪肉は、栄養価の高いお肉だと言われるけど、近年の研究で、
猪肉の赤身に還元型コエンザイムQ10が豊富に含まれていることがわかったとか。
この還元型コエンザイムQ10が、牛肉・豚肉の2倍以上含まれとるそうだ。
猪肉にCoQ10が多い理由について、研究した人は、
「走るためのエネルギーを多く必要とするためではないか」って言ってるんだって。
なるほど、自然の中に生きる野生の猪ならではの豊富で力強い成分だわなぁ。
猪はいろいろな謂れで「薬喰い」っちゅーけど、
ほんとにそうだったんだと納得。
山の肉屋や猟師は、基本的に脂ののったところはお客様用のお肉だから、
スジや皮はもちろん、脂の少ない「赤いとこ」を食べるのが常。
山の衆は「アカミニスト」だわ。
オラのオトウチャは料理が好きで、猟師に聞いた
「赤身の片栗焼き」ちゅーのをしとった。
醤油洗いして、片栗粉をまぶして焼いとったが、
やわらかい食感に仕上がっとって旨かったなぁ。
大きくなって、片栗粉、つまりデンプン質は、
消化吸収が早いってこととか、
代謝が上がって血行が促進され、内臓機能や細胞活動が活発化し、
免疫力が高まることとかを知った。
ウチじゃ、小さい頃から片栗粉は比較的活躍しとって、
風邪ひいたとき、おなかの調子が悪い時、
よくお湯に溶いて飲ませてもらったな。
栄養ドリンクのような働きをするって思っとったと思う。
昔の衆の知恵、習慣っちゅーのは大したもんだなとあらためて感じる。
オトウチャの「赤身の片栗焼き」は、今考えると、
きっと最強の栄養食だ。
女房殿は、この片栗焼きをオラが知らんところで
オトウチャから教わったみたいで、赤身の切り落としなんかがあると、
焼いた後、女房殿のアレンジで生姜醤油やねぎダレで和えてくれる。
オトウチャの味の進化系だ。
女房殿に負けっこ、オラも進化せんと、オトウチャに怒られるで頑張るぞー。