「お肉のよもやま話」料理で再発見!お肉の魅力、おいしい秘密 2024年12月号
週刊いな「お肉のよもやま話」2024.12.26
今回は新商品の「キムチ入りジンギス(キムジン)」のお話!
そういえば、焼肉にキムチってのはなんとなくセット。
焼肉屋さんには必ずキムチがあるように思う。
食欲を増進させたり、発汗や脂肪燃焼を促す辛味成分が含まれ、
腸内を整える乳酸菌や食物繊維がいっぱい。
焼肉をおいしく食べながら、
お肉食を体にうまく取り入れる成分をうまく摂取できるのがキムチ。
だから、焼肉の前に、とりあえずビール、
じゃなくて、とりあえず「キムチ」がいいのかも。
キムチは、日本の漬物市場での生産量はいつもトップクラス。
日本の食生活にキムチが入ってきたのは1945年以降。
当時の呼び名は「朝鮮漬け」。
その後、1960年代後半から少しずつ一般に浸透しはじめ、
1970年代前半になってスーパーマーケットなどでの販売もはじまった。
ソウルオリンピックからのキムチブーム、
日韓サッカー・ワールドカップ開催により
一気に過熱した模様。
好きな漬物は?なんて聞かれると、
けっこうなわりあいで「キムチ」っていう人多いと思う。
野沢菜漬け、たくわん、ぬか漬け、柴漬け..
たぶんいわゆる日本の漬物は影を潜めちゃうんじゃない?
長い漬物の歴史の中でも、キムチは若い。新入り。漬物界の風雲児。
今やスーパーの漬物コーナーの一角はキムチ。
半分近くがキムチ一色のところも見る。
キムチは、世界でも珍しい野菜の発酵食品。
もともとは農作物がない越冬用の栄養を
補給するための保存食であったから、日本の漬物と一緒だな。
キムチの歴史は4000年ほど前から。
最初は、素材の色や味を活かしたキムチが多くを占めとって、
現在のような唐辛子を使用したキムチになったのは、
16世紀に日本から唐辛子が伝わったからなんだって。
諸説あるけど、豊臣秀吉が朝鮮出兵のときに
武器として持ち込んだとか。
武士の足が冷えないように唐辛子を凍傷の予防に使ったとか。
目つぶしや毒薬として使ったとか。
日本でも最初は、発酵を重視した辛くて酸っぱいキムチ。
子供が食べるものではないイメージ。
それが変わったのは「和風キムチ」が出てきてから。
酸味少なめ、甘みがあって日本人がお漬物感覚で
食べやすいと感じる浅漬けタイプ。
白菜はもちろん、大根、豆腐、きゅうりなど
幅広い素材に合わせちゃったり。
炒め物、鍋物、麺類にアレンジしちゃったり。
和洋中といったジャンルなんか飛び越えて
愛されちゃってる漬物。日本独自のキムチ文化だわね。
オラのとこのジンギスも、キムチと同じように
大陸の衆にその味とやり方を見よう見まねで教わったけど、
結局、試行錯誤して、日本人が食べやすい味を
模索しながら、少しずつ広がってった。
そういえば、オラんとこのおかあちゃは「朝鮮漬け」が上手だった。
ジンギスを教えてもらった頃に習ったみたいで、
白菜をベースに唐辛子、にんにくを混ぜて、
毎年冬に相当な量をつくって配っとった記憶がある。
朝鮮漬け、キムチは、母から娘、姑から嫁へと伝えられていく
「オモニの味」と言われる。
オラの姉も知らんし、女房殿が来た時には、
もうやっとらなんだで、残念だけど、
「スズキヤのおふくろキムチ」は、断絶しちゃっとった。
もはやオラの記憶の中にしかない「キムチ」だけど、
なんだか今よく食べるキムチより旨かった記憶。
今になって思うけど、あのキムチは、
ジンギスに合う味だったんじゃないかな。
にんにくとか唐辛子を利かせすぎちゃうと
強い味で主張しちゃって、ジンギスには合わん。
ジンギス焼く時のあくまで脇役で、
そして、ご飯がすすむ、箸がすすむ味付け。
ジンギスの味を決めたのはオトウチャだけど、
キムチの味はおかあちゃが決めた味。母の味です。
つい最近、キムチ入りジンギス通称「キムジン」を発売した。
「キムチの賞味期限が切れちゃうから、
全部食べちゃって。ご飯ないけど」って女房殿に言われたのが発端。
飯なしでキムチを食べろとは、
俺様にリスペクトはないのか!とアタマに来て、
ほいでも、腹も減っとったし、この怒りを変換して、
ごはんの代わりにジンギスと白菜キムチを焼いたら、
これが妙にウマかったもんで、
キムチ入りジンギス(キムジン)の開発にすすんだと思う。
いわゆるポピュラーな家庭料理、豚キムチとは違う感じだった。
開発にあたっては、やっぱりキムチの選定を重視した。
いくつか試したが、浅漬け和風キムチじゃなく、
やっぱり、本場韓国風の味のものがしっくりくる。
選定のイメージは、オラの記憶にある「スズキヤのおふくろキムチ」。
オトウチャのジンギスの味とオカアチャのキムチの味を、
子どものオラが融合させたカタチだ。
まあ、子どもの目から見ても、
夫婦善哉のような夫婦二人三脚な2人だったから、
融合は必然だったかも。
断絶しとったキムチの味、違う形で、
復活させたで、ちったあ親孝行できただろうか。
飯田焼肉エリアは、実は漬物が盛ん。
焼肉と同じようにキムチももっと浸透してもいいと思うけど、
いろんな要因で歴史的には広がらなかった。
いまは、全国的に、あんまり、
漬物を食べなくなっちゃっとるけど、
今こそいろんな英知を結集して
「飯田焼肉キムチ」を作るといいかもしれんぞぉ。